WEBでちょい旅 一厘録 ICHIRINROKU

向山製作所の生キャラメル(福島県)2013.04.05 /food

2013年の春に竣工したJPタワーの地下一階「KITTE GRANCHÉ丸の内」。全国各地から地元の人気店や老舗が集まり、34の店舗が東京駅直結のこのフロアに軒を連ねている。その一角に登場した「向山製作所」は、電子デバイス製造を本業とするめちゃめちゃ理系な会社だ。本社は福島県安達太良郡大玉村。それなのに、と言ったら失礼なのは分っているが敢えて言いいましょう。それなのに!
そこのおじさーん、ここのスイーツ、女子大喜びですよー。ちょっとお土産に、いかがですかー。

知りすぎた女にはちょっとほろ苦い?

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「理系」。この言葉にはしばしば、尊敬と揶揄、愛おしさと近寄りがたさ。単純には割り切れない思いが込められる。「あーあの人、理系だもん」とか。つい使ってしまうこと、私にもあります。でも「向山製作所の生キャラメル」を食べたとき、とろ~んと口に広がるキャラメルの甘さに酔いしれながら、ちょっとだけ思いました。「ごめんね」って。理系文系。血液型。生まれた場所。肌の色。親の職業。お金を持ってる持ってない。んなこたどうだっていいじゃないかと。旨きゃーそれでいいのじゃないのかねと。

向山製作所がフード事業に乗り出した経緯や、リーマンショックや東日本大震災に翻弄されたその後の軌跡。そういうプロジェクトXな部分は、同社サイトにもさらりと紹介されているし、一部メディアでも取り上げられたので、ネット検索等で簡単に辿ることができます。「こんなお菓子にそんな秘話が」と胸に迫る内容もあります。

私自身、そういうエピソードを知った上で、「食べてみたい」「もしそれほどでもなくても、福島を応援できるなら」とお取り寄せしました。でもそれは、スイーツを構成する要素としてはむしろ不釣り合いな、「苦さ」を感じさせるものでもありました。この生キャラメルを知った経緯から言ってもそれは無理なのですが、「何も知らないまま、できれば出会っていたかった」と今は思っています。だから願わくば、興味を持った方はぜひ、背景に何があるかなんて抜きにして食べてみていただきたいです。

「秘話」とは別次元にある完成度

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「向山製作所の生キャラメル」が代名詞であることは、この会社のフード事業にとって揺るぎない事実です。だからその開発秘話が商品の付加価値の拠り所であることも実際そうでしょう。 でもそれはあくまでも付加価値。本質ではありません。丸の内にショップを展開するまでになったのは、スイーツとしての本質が追求されているからこそです。後発のプリンやキャラメルソースのヒットもそのことを裏づけています。

可愛いけれど、甘さは抑えた心くすぐるパッケージ。それをほどく瞬間の期待感。ほわわっととろけたかと思うとまた溶け合う特有の甘さと苦味。そういうスイーツとしての本質的な要素が丁寧に積み上げられ、融合して、高い完成度に到達しているということ。女子(だけとも限りませんが)は、深いことは知らずに、この事実に心を預けたいのです。それがスイーツに対する真摯なスタンスってものだし。と、辛うじて女子の私はそう思うのでした。

ライター:菊池桂

information

向山製作所の生キャラメル

WEBサイト
http://www.mukaiyama-ss.co.jp/caramel/index.html
TEL
0243-68-2456(9:00~17:00)
FAX
0243-68-2457
ネットショップ
http://www2.enekoshop.jp/shop/food-mukaiyama/
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