WEBでちょい旅 一厘録 ICHIRINROKU

ARABAKI ROCK FEST.(宮城県)2013.06.18 /event

東京から東北新幹線に乗って約1時間40分、桜を追いかけるように春の宮城へ。やってきたのは、東北最大級の野外音楽イベント「ARABAKI ROCK FEST.」。先輩格の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」と「RISING SUN ROCK FESTIVAL」が夏の“二大邦楽フェス”なら、こちらは“春フェスの代表格”だ。13回目を迎えた今年は、2日間で過去最多の4万5730人が訪れた。

“まつろわぬ民”の魂を受け継ぐ祭り

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アラバキは漢字で「荒吐」と書く。「アラハバキ」だと思っていたが、2通りの読み方があるらしい。東北の独立を守るために大和王権や朝廷に抵抗した古代民族の名とも、彼らが信仰した謎多き土俗神の名ともいわれる。征夷大将軍・坂上田村麻呂と戦った東北の英雄・アテルイはその代表的指導者として有名で、つい最近もテレビドラマ化された。

彼ら“まつろわぬ民”から受け継いだ自由を愛する精神は、郷土への愛着や独自の歴史・文化、人間性を全国へと発信する“祭り”として現代によみがえる。2001(平成13)年、荒脛巾(これもアラハバキと読む)神が祭られている多賀城に近い仙台港で、第1回の「ARABAKI ROCK FEST.」が開催された。以来東北を代表する本格的野外音楽フェスとして年々参加者数を増やし、東日本大震災の影響で夏に開催延期となった一昨年も、前年を上回る動員を記録した。

東北地方の地名にちなんだ6つのステージを中心に、今年は100組以上のアーティストが出演。全国を巡業するライブプロジェクト「風とロック LIVE福島 CARAVAN日本」や、2011年にも行われ好評を博したギターセッション企画「GTR祭2013」など、フェスならではの多彩なコラボレーションも繰り広げられた。

ロックだけでなく、地元の中学校ブラスバンド部による演奏や秋田県雄勝郡羽後町の西馬音内盆踊り、エコや東北被災地のことを学びながらクラフトや民族楽器演奏などにチャレンジできるワークショップも展開。さらに宮城県の観光PRキャラクター「むすび丸」が会場に出没して撮影会が始まったかと思えば、特設リングでは元祖ご当地プロレス「みちのくプロレス」の試合に熱い声援が飛ぶ。まさに何でもありのお祭り状態。コアな音楽ファンだけでなく家族連れやアウトドア好きなど幅広い層が楽しめる盛りだくさんの内容だった。

それぞれのスタイルで自由に楽しもう

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フェスのもう一つの主役といえば、バラエティに富んだフードメニューが並ぶ出店。特に「ARABAKI」の場合は東北のご当地グルメを味わえるのが魅力だ。山形名物「玉こんにゃく」に、半熟の目玉焼きと福神漬けが乗った秋田のB級グルメ「横手やきそば」、小麦粉を練ったモチモチの「はっと」を醤油仕立てのつゆで味わう「はっと汁」、会場のある川崎町の名産を使ったマイタケご飯や川崎牛の串焼きなどが人気を集めていた。フェスに限らず祭りの出店というのはついついテンションが上がって食べ過ぎてしまうが気にしない気にしない。広い会場を歩き回ってカロリーを消費しているから大丈夫、とか何とか理屈をこねつつ“フェスめし”を堪能した。

野外フェスのいいところは、いい意味での“ゆるさ”にあると思う。お目当てのステージで熱狂するもよし、遠くから聞こえてくる演奏をBGMにのんびり昼寝をするもよし。堅苦しいことは考えず、ロックの自由な精神よろしく思い思いのスタイルで参加すればいい。通りがかったステージで知らないバンドの演奏を聴いてファンになったり、というのもフェスならではの“出会い”だろう。

人々の熱気と平和な空気に包まれて音楽と自然を満喫した2日間。来年も是非また参加したい。

ライター:和泉朋樹

information

ARABAKI ROCK FEST.

WEBサイト
http://arabaki.com/
住所
国営みちのく杜の湖畔公園 エコキャンプみちのく
(宮城県柴田郡川崎町大字川内字向原254番地))
日程
2013年 4月27日(土) 4月28日(日)

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